海外のガス自由化、ドイツの事例

海外のガス自由化、ドイツの事例海外のガス自由化、ドイツの事例

日本国内では、電力自由化に続き来年4月にガス自由化が行われようとしています。でも本当に自由化された方が良いものなのか、ガス料金は安くなるのかなど、何を基準にして判断したら良いのかよくわかりませんよね。そこで海外でのガス自由化の動きを参考にしたいと思います。今回は、日本よりもかなり早い段階でガス自由化に取り組んでいるドイツの例を挙げて、ご紹介しましょう。

ドイツのガス自由化の概要

海外のガス自由化、ドイツの事例
ドイツ国内において、ガス・電力の自由化は1998年に同時に行われました。

一時期ガス会社が国営1社のみだったイギリスなどに対し、ドイツでは独占してガス販売を行う会社はなく、それぞれの地方に公営のガス会社が多数存在していました。
他国では、大口需要家や年間使用量別に段階的にガス自由化の範囲を拡大していく傾向がありましたが、ドイツでのガス自由化は使用規模に関わらず一気に全面的に行われました。

最大の改正点は、事実上の供給・輸送区域の独占を容認してきた「供給区域設定契約」と「排他的導管敷設契約」をEUからの指摘によって撤廃したことです。
2005年の新エネルギー経済法に基づいて、ガス事業者の輸送・配給部門は分離されましたが、ユーザー数が10万件未満の小規模なガス事業者に関しては、会計分離も含めて適用を免除されました。
そのため、配給パイプライン事業者の約720社の内630社は、それまでと変わらず配給・販売一体事業を継続できたという事実も残っています。 

ガス自由化がスタートしてから、電力・ガスの小売市場には100社を越える新規事業者が参入していき、既存の会社と新規事業者が激しく価格競争を繰り広げていきます。
しかし、元々ドイツではガスの原料の80%以上を輸入に頼っているため、競争が激化しても料金に反映させることがなかなか出来ない状態が続いています。
一時は数多くあった新規事業者の内、今は資金力のある会社だけが生き残っているのがドイツのガス自由における現状です。

ガス自由化後のガス市場

ガス料金はどうなったか

ドイツのガス料金は、自由化後当初は既存の公営会社と新規参入会社とが価格競争したことで、大きく値下げされました。
しかし、競争力のない小さな会社が大きな会社に吸収されていったこともあり、現在は自由化前の価格よりも値上がりしています。
天然ガス価格の高騰が原因となっている部分もありますが、自由化によって料金を安くするという点に関しては、ドイツでは成功したとは言えません。
イタリアやフランスなどはガス代の規制料金があるため、価格の変動幅が比較的小さい傾向にありますが、ドイツはガス代の規制料金がないので、2002年以降は価格が著しく吊り上げられています。

消費者は切り替えを行ったのか

ドイツ国内において、ガス会社を一度以上変更したことのある家庭の比率は2012年の時点で18%ほどです。
旧国営企業の独占状態であるイタリアの4.1%やフランスの2.3%と比較すると、高い数値であることがわかります。
他社への乗り換え率においても、実際に乗り換えた世帯数に関しても、年々増加し続けています。

しかし新規参入会社は、契約切り替え後に大きな会社に買収されてしまうなど入れ替わりが激しいため、消費者からの信頼を十分には得られていません。
ドイツ国内では会社の規模や価格よりも、安定している地元の企業を重視する利用者が多く、実際のところガス・電力ともに、以前供給を受けていた公営会社との契約を再開する人も多く見られます。

まとめ

ドイツのガス・電力市場では、自由化による効果はまだ表れておりません。
日本では、今年の電力自由化に続き、来年ガスの自由化も始まりますが、欧米に比べると時間を掛けて準備を進めてきただけに、失敗は許されません。
欧米の成功・失敗例をきちんと参考にしながら、自由化の目的でもある料金の抑制がバランス良く行われるようにしたいですね。

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