海外のガス自由化、アメリカの事例

海外のガス自由化、アメリカの事例海外のガス自由化、アメリカの事例

アメリカの公共料金の自由化と言うと、まず思い出されるのが電力自由化に伴ってカリフォルニア州で発生した大停電がありますよね。電気に関しては先進国でも他国に先駆けて自由化したもののうまくいかなかった印象がありますが、ガスの自由化においてはどうだったのでしょうか?日本も2017年4月にガスの自由化をひかえているだけに、アメリカのガス自由化の状況を参考にしてみましょう。

アメリカのガス自由化の概要

海外のガス自由化、アメリカの事例
アメリカのガスの供給は、欧州のように国が規制権限を所有しているのとはちょっと事情が異なり、州単位で管理・統制されます。
そのためにガスの自由化についても国が一本化して進めるのではなく、対応が各州によって違うために、進捗にもばらつきが見られている状況です。

ガスのパイプラインは、広大な国土全域に50万キロも張り巡らされ各家庭に供給されていますが、小売自由化に関しては1995年から一部の州で開始したものの、未だ8つの州のみでしか実施されていません。

こういった現状の背景には、天然ガスの卸売価格が下がらない状況で自由化に踏み切っても効果は期待できないばかりか、価格の高騰を招く危険も潜んでいるため、踏み切れずにいる各州の事情があるようです。

そもそもアメリカは、天然ガス自給率が高い国です。
日本のエネルギー自給率が4%であることに対し、アメリカのエネルギー自給率は61%、その内一次エネルギーにおける天然ガスの割合は25%です。
天然ガスの取引史上が活発なアメリカにおいて、家庭用のガスを供給するにはユーザーが多くないと利益を出すことができないため、産業用の大口顧客にガスを供給する方が効率が良いのです。

いろいろな企業が乱立し、大手の需要家が多数集まるニューヨークやカリフォルニア州などの地域では、産業用ガスと同時に家庭用ガス自由化の導入もスタートさせました。
が、それ以外のほとんどの州では、大口の需要家に対してしかガス自由化を開始させていないというのが実情です。

ガス自由化後のガス市場

ガス料金はどうなったか

アメリカでは家庭用のガス自由化を行っている州が8つに限られているため、今回はニューヨーク州とカリフォルニア州における料金の推移を考察してみましょう。

ニューヨーク州の場合、新規参入会社が40社以上あり、消費者は多様な選択肢の中から契約会社を選べるようになりました。
2008年の時点では、9.1%の消費者がガス会社の乗り換えを行いました。
2008年以降にはガス料金が下がった傾向がありますが、2006年などに原料高騰による値上がりがあったため、その頃と比較するとガス代が安くなったと推測されており、各社が競争した結果が出たとは判断するのは難しいところです。

一方、カリフォルニア州では、新規参入会社は1社のみしかなく、切り替え率は0.3%と低かったため、ガス自由化によって期待されるはずだった競争は見られず、なかなか料金が下がるまでには至りませんでした。

消費者は切り替えを行ったのか

家庭用ガスの小売全面自由化を実施している8つの州において、新規事業者に対する切り替え率は実際どうなっているのでしょうか。

家庭用の切り替え率が1%以上の地域は、2008年に9.1%だったニューヨークの他、ワシントンD.C.、ニュージャージー、ペンシルペニアの4州です。
そしてマサチューセッツ、ニューメキシコ、ウェストバージニアなどの4州の切り替え率は、1%未満の状況です。2008年に0.3%だったカリフォルニアもこちらに該当します。

競争が激しいニューヨークの主要事業者の料金メニューについて見ておきましょう。
例えば大手の「SoCal Gas」社では、固定料金・夏季や冬季別に一日当たり所定量を上限とする定額料金・集合住宅向け料金・在宅看護の需要家向けの料金など幅広く用意しています。
12ヶ月間の固定料金プランを提示する会社が最も多い中で、さまざまなタイプの消費者がライフスタイルに合った料金プランを選べるように工夫されています。

現在、大口需要家の多いニューヨーク州では乗り換え率が20%程度とガス自由化の効果が表れていますが、その他の州ではまだまだ供給者の変更率は低いままです。

まとめ

アメリカの場合は州によってガス自由化への対応が違うため、国全体のガス自由化の成果を比較することは出来ませんが、唯一成功しているのがニューヨーク州のみという状況です。
この結果を見る限りでは、アメリカはガスの自由化が成功しているとは言いがたいですね。
日本においてのガス自由化でも、こういった成功と失敗の両面を持つアメリカのケースを十分に参考にする必要があるようです。

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